〜3時だよ!全員集合?〜
世の中って、広いようでホントに狭い――――
とある公園に、互いを見詰め合う男女がいた。
男女と言っても、一対一のラブラブカップルというワケでもなく、歳もまだ若い少年少女たちだ。
その数、現在男3人女1人の、合計4名。
彼らは皆、一様に驚いた顔をしていた。
その中でも紅一点の少女、・がようやく口を開いた。
「……なっ、なんでここにいるの?!」
あまりの驚きに、声が裏返ってしまう。
目の前にいるのは、ここにいるはずのない…いや、いることすら想像できない人物たちだったのだ。
物凄い形相で走って来たイザーク・ジュールに、それを追いかけて来たディアッカ・エルスマン。
2人とはつい先日行われたばっかりの、ZAFT軍アカデミー入学試験にて知り合いになったばっかりだ。
自分の後ろにいるオレンジ頭の少年、ラスティ・マッケンジーも、そうだったりする。
「なんでって言われてもなぁ…」
ディアッカがポリポリと頬を引っ掻きながら苦笑を返す。
そんなの、自分達が訊きたい位だ。
なんとも言いがたい微妙な空気が流れたその時、更なる混乱を招きそうな人物が現れた。
「〜Vv」
「えっ」
茂みをガサガサ揺らせながら現れたのは……
「「「ニコル?!」」」
緑のふわふわとした髪に、少女とも見まがう可愛らしい顔。
そして、イザークたちなどまったくもって知りませんという態度。
間違いなく、自分達のよく知るニコル・アマルフィだ。
「こんな所で逢えるなんて、やっぱりあのお告げのおかげですね」
「お、お告げ?」
「あ、気にしないで下さい。独り言ですから」
そう言われると突っ込みたくなるのが人情だが、彼らは耐えた。
あまり深く突っ込んじゃ、こっちの身が危ない。
「……まぁ、これでアスランがいたら、すげえ偶然じゃねえ?」
「全く持って嬉しくない偶然だな」
「あれ、ディアッカにイザーク、いたんですか?」
ニコルのその態度に、イザークが速攻でキレそうになるが、ディアッカが必死に抑える。
世の中には、手を出してイイ相手とダメな相手がいる。
ニコル大魔王様は、絶っっっ対に手を出しちゃダメな相手だ。
「アスランならいますよ」
「「「は?」」」
「ほら」
そう言ってニコルが指差した先には、確かにイザークの宿命のライバル、アスラン・ザラがいた。
全力疾走して来たのだろうか、全身汗だくで、ぜえはあ言っている。
「アスラン!」
「イザーク……に、?」
「お〜い、俺もいるんだぞ〜」
「ディアッカ、いたのか?」
体育座りをしながら地面に落書きを始めたディアッカを完全無視して、彼らの話は進んでいく。
「特別待ち合わせもしてないのに、凄い偶然だな〜」
「ですね〜」
「私もびっくりしちゃって〜」
「そうだな……で、君は?」
ちゃっかり輪の中に入って会話をしていたラスティに、ほぼ初対面であるアスランたちの視線が注がれる。
「ラスティ・マッケンジーで〜す!」
「ラスティもこの間の入学試験にいたんですよ」
の紹介に、改めて今回の偶然の凄さを実感する。
開戦直後で若者が次々と軍に志願しているとはいえ、軍で知り合った6人が同じ場所でばったりなんて、中々無い事だ。
「一応、グループ戦で最期に対戦した中の1人だったりしま〜す」
「へ〜、そうだったんですか。僕はニコル・アマルフィです」
「俺はアスラン・ザラだ。宜しく」
「イザーク・ジュールだ」
「ディアッカ・エルスマン。ヨロシク〜」
「宜しく〜。で、皆なんでここにいるの?」
その言葉に、顔を見合わせる一同。
ラスティは、好奇心いっぱいとばかりに、目をキラキラさせて皆を見ている。
まぁ、確かに何でこんな偶然が起きたのか、気になるのは当然の事だ。
「俺はイザークにくっ付いて……」
「ここの図書館に用があってな」
「お告げがあったので」
「……自作ペットロボの試運転に」
なるほどなるほどと、うんうん頷きながらそれぞれの事情を聴くラスティ。
会って数分で皆の輪の中心にいるのは、流石と言うべきか。
「で、お前はどうなんだよ?」
「俺は、犬の散歩。ちゃんもそうだよね〜」
「まぁ。人捜しってのもありますけど…」
そういや、ミゲル捜すの忘れてた。
と、やっと本来の目的を思い出す。
「へ〜。誰捜してるの?」
「ん〜と、幸の薄そうな金髪軟派男なんですけど……見ませんでした?」
のその言葉に、皆の視線が一点に集中した。
「なっ、なんで俺を見るんだよっ!!!」
幸薄そう、金髪、軟派男。
「全て当て嵌ってますから」
「ディアッカ捜してたのか?」
「あ、違いますよ。捜してるのは、全然別の人です」
確かにこの条件だとディアッカも当て嵌まってしまうが、容姿的には全然違う。
「色白で、もっと金髪が濃くてストレートヘアで……」
ミゲルの容姿を思い出しながら、細かい特徴を並べていく。
ポーズをとってにやけた面のミゲルが脳裏に出てきて、ムカつくことこの上ない。
「う〜ん、見なかったなぁ」
「俺もだ」
「僕もです」
「そうですか…」
やはり愛狼は当てにならなかったか……。
「ん?」
の思考に、何かが引っかかった。
何か、大事な事を忘れている気がする。
何だったか思い出そうと地面を見たら、犬の足跡。
思い出した。
ミゲル捜索の最重要手がかりである、毛玉の塊がさっきからいない。
ついでに言えば、ラスティの愛犬、ラッシーもいない。
「あーーーっ!!!」
突然叫び出したに、どうしたんだとアスランたちが問いかけるが、それどころじゃない。
「ラスティ、タマとラッシー!」
「…あ、あーーーーっ!!!!」
ようやっとラスティも自分の愛犬の姿が無い事に気付いたようだ。
そういや、イザークが茂みから出てきた時、思わず愛犬から手を離してしまった……ような気がする。
は背中が寒くなった。
もしあのバカ犬が、人様に迷惑をかけていたらっ!!!
「タマーーーッ!!!」
「ラッシーーーーー!!!!」
狂ったように愛犬の名を叫び続けるとラスティに、アスランたちは声をかける事ができなかった。
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+++あとがき+++
長くなるので、ここで切っときます。
後1話とおまけで休暇は終わり……の、ハズです。
やっと全員揃いましたが、今度はワンコたちが行方不明。。。
後もうひと踏ん張り、頑張ります…!
それでは、こんな駄文をここまで読んで下さり、ありがとうございました!