ザフトのエリートパイロット、イザーク・ジュールはここ最近、かなりイラついていた。
























すとれ





























「ひゃっ…」


ゴッ


「〜〜〜〜っ」




「―――どうして」

「……イザークさん?」

「どうしてお前はそこまでとろいんだ!!!」














お前はそれでもコーディネーターなのか?!


そう訊きたくなるほど目の前の少女、は動きが鈍かった。


壁にぶつかる。

人(主にイザーク)にぶつかる。

機械(主にデュエル)にぶつかる。

歩けば必ずどこかにぶつかっていた。


無重力空間のため、どこから突っ込んで来るのか解からないだけに迷惑だ。

おまけに阿呆で馬鹿だ。

人にぶつかったと勘違いして壁に向かって謝っているのを見た時、イザークは本気でコイツは阿呆だと思った。

コーディネーターとしてのプライドが人一倍高いイザークにとって、は目障りな存在でしかなかった。

しかも本人はいつも緊張感も無い顔でにへらと笑っていて、余計にイザークの神経を逆撫でる。

完全無視を決め込めば良いのだが、無視しようとすればするほど妙に気になった。

そしても、何故かイザークの近くで余計な失敗をしでかすのだ。

今回も『ゴッ』と今までより痛そうな鈍い音をたてて、見事にデュエルに激突してくれた。

「貴様ぁ!!何回デュエルに激突すれば気がすむんだ!?」

「いひゃい!いひゃいれふ!!いひゃーふしゃん!!!」

「もっとはっきりとモノを言え!!」

「ううっ、ムリれふよう…」

ちなみにの両頬はイザークによって思いっきり引っ張られていた。

完璧なイジメだ。

イザークの溜まりに溜まったストレスは、その元凶であるに日々向けられていた。

「はにゃひてくらひゃいよう〜!!」

「うるさい。学級文庫と言ってみろ

「そっそれらけは、いやれふ〜〜〜!!!」

あまりにも幼稚なイジメに、周りの者も誰も止めようとしない。

いや、同僚の整備士たちは普段を娘や妹のように可愛がっているためなんとか助けてやりたいのだが、イザークが恐くて誰もできないでいた。

心の中で手を合わせて、念仏を唱えるしかなかった。

ようするに、見てみぬフリ。

「言ってみろ」

「イヤれふ〜〜〜〜!!!!」

は大きな瞳一杯に涙を溜めていて、今にもこぼれ落ちそうだ。

イザークたちはここ最近、こんなやり取りを毎日繰り返していた。

『誰か助けて』とは思うが、誰も助けてくれないのは、ここ数日の間で解かりすぎるほどに解かっていた。


だが今日はいつもと違い、救いの手が差し伸べられた―――



「やめてやれよ、イザーク」



イザークと同じエースパイロットのディアッカ・エルスマンが苦笑混じりに止めに入った。

普段ディアッカは、こんな二人のやり取りを面白おかしく見物していたが、今回はあまりにもイザークが壊れてきたため、しかたなく止めさせた。


「ううっ、イザークさん酷いですよぅ…」

はやっと解放された頬を擦りながら小声で言った。

「何ぃ?またやられたいのか?」

「落ち着けイザーク!女の子に対してソレは酷いぞ!!」

ほっぺつねって学級文庫は無いだろう!

それだけ言うと、流石にイザークも少し反省した。

汚くて下品過ぎる。普段の自分からしてみたら自分で自分が許せない。

そして自分が壊れる原因となった少女を睨みつける。

こいつのせいでっ!!

はディアッカの後ろに隠れてビクビクとイザークの様子を窺っていた。

その姿に余計にイライラが募る。

「ふんっ!行くぞディアッカ」

「ハイハイ。じゃ、またねちゃんv」

ディアッカがに手を振る。

もほっとしたように笑顔で手を振り返す。

イザークは、何故か自分の中でまたイライラが募るのを感じていた。


あいつの仕草の一つ一つが気に食わない。


自分をここまでイラつかせる相手も珍しい。

だが同僚であるアスランに感じるイラつきとは微妙に違う気がする。








何かもっと別の感情―――






















初めて味わう感情に、イザークはまた、イライラを募らせる。





















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+++あとがき+++
前サイトの遺物。
夢じゃねぇ!!!夢じゃないよ!こんなのっ(大汗
ヒロインに対して、めっ…目障りな存在って;;
イザークもかなり壊れてます。。。
全国のイザークファンの方、ごめんなさい!
イザークのコレは(多分)好きな子ほど苛めるってやつです(多分かよ
完全イザーク視点なんで、ちゃんの心の動きが全然解かりません;
イザークの片思いって気もしなくもなくもないような(どっちだよ
って言うか、完璧片思いですねv
あはは、しかも全然自覚してない。…タチ悪りぃ〜〜;;


ここまで読んで頂き、ありがとうございました!