ぁーすと・んたくと































「はうっ…」



ドンッ



バサバサバサ…



「ああっ!だだだ大丈夫ですか?!ごっごめんなさい!!!」

そう言ってイザークにぶつかってきた少女は、書類やら何やら色々と撒き散らしながら謝ってきた。

ここはザフト軍宇宙艦『ガモフ』の中。

当然無重力空間なので書類の束は全部宙に浮いていた。

書類の束はイザークの荷物じゃなく、全てぶつかってきた相手のモノだった。

「……気をつけろ」

わたわたと書類を掻き集めている少女にそれだけ言うと、イザークはとっとと先を急いだ。

ただ女が軍にいるなんて珍しいとは思いながら―――
































「あうっ…」



ドカッ



「ああっ!ごごごめんなさいぃ!大丈夫ですか?!……って」

「……また、お前か」

この前の人だーと、緊張感の無い声でイザークを見上げながら少女は言った。

この前の少女だった。性懲りも無くまたイザークにぶつかってきた。

今日は荷物は持ってないらしく、宙には何も浮いてない。

「一度ならず二度までも!本当にごめんなさい!!あの、お怪我はありませんか?」

イザークには何も被害が無かったが、少女はぶつかった衝撃でまた吹っ飛ばされていた。

この前は気にも留めなかったが、少女は整備士の作業服を着ていた。

ますます珍しい。

しかも、どう見てもイザークより年下だ。

「お前、いくつだ?」

「え?えっと、15歳ですけど…?」

15歳よりも若く見える。背も小さい。

少女はまだ12か13歳くらいにしか見えなかった。

イザークとお同じ隊のニコルと並べたら同い年で通るかもしれないが。

「次またやったら容赦しないぞ

それだけ言うとイザークは振り返りもせず行った。

ザフトの女王(?!)イザーク・ジュールにしてはかなり殊勝な態度だろう。

これが年上で男だったらボコボコにされていた。





この時点ではイザークも少女のことなど気にも留めていなかった。


































「ひゃうっ…」


ゴンッ


「また、お前かぁ〜!!!」

「あああぁあぁごめんなさいごめんなさいぃ!!!!」

少女は今度は停止中のデュエルに激突していた。

直接イザークにぶつかってきたワケではないが、『デュエルにぶつかったなら俺にぶつかったのと同罪だとの勝手な判断で、イザークは少女の両頬を遠慮なくつねった。

「いいいひゃいいひゃいいひゃいれふ〜〜〜!!!」

言葉にならない抗議の声をイザークは無視し、更に横に引っ張る。

本当に容赦が無い。

そして、大人気無い。

「―――で、なんで貴様がここにいるんだぁ?」

デュエルの整備担当などとほざいたら、しばき倒してやる。

こんな間抜けにデュエルの整備なんてさせたらこっちの命が危ない。

そう判断したイザークは、そう心に硬く決意した。

「あ、今日付けでデュエルの担当になったんで…いひゃいいひゃい!!」

一度開放された頬はまたしてもイザークによって引っ張られた。

先ほどよりも強く。

「〜〜〜っ何するんですかぁ…」

やっと解放された頬を擦りながら半泣きで抗議してくる姿はどこまでも弱々しかった。

「貴様なんぞにデュエルを任せられるかっ!」

自分の命がかかっているだけにイザークは容赦無い。

普通の相手ならびびってすぐにでも荷物をまとめて出て行く勢いだ。

だが少女は―――

「あ、大丈夫ですよ。どうせ一番下っ端なんでまだ雑用しかさせてもらえませんから」

元々打たれ強いのかそれとも鈍いのか、笑顔で言葉を返してくる。

意外と恐いモノ知らずだ。


さらに


と申します。えっと、改めてよろしくお願いします!」


と、握手まで求めてきた。


もちろんイザークは握手をするはずも無く

(デュエルに触られる前に軍から叩き出してやる

と、にとってかなり不吉なことを決意していた。








これが天然のほほん娘恐怖のオレ様(?!)イザークの出会いだった。















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+++あとがき+++
前サイトの遺物。
初のおかっぱ夢です!
名前変換が異様に少ない…;;

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。