今日は従姉の結婚式。

日曜日の大安吉日、しかも雲一つ無い晴天での披露宴だ。

正に、理想的な結婚式と言えるだろう。

仲が良く、お姉さん的存在だった従姉は、綺麗なウェディングドレスを着てとっても幸せそうだ。

旦那さんとなる新郎も、優しそうで、しかも中々のイケメン。

良かったね、お姉ちゃん!

生まれた時から可愛がって貰っていた従姉に、心からの祝福を送る。

といっても、まだ式が始まっているわけではなく、これからこの高級ホテルの中にある小さな教会で親戚だけの簡易な誓いの儀式を済ませた後、友人・知人も集めた披露宴へと突入するのだ。

それが終われば結婚式は終了となるが、主役の新郎新婦はその後更に2次会・3次会に、次の日には新婚旅行というハードスケジュール。

結婚式ってやっぱり乙女の憧れだけど、自分はしばらく無くて良いや…と、思ってしまった。

でもいつかはこんな素敵な式を…ううん、こんなに豪華で無くて良いから、平凡でも自分的には素敵な旦那さんとささやかで幸せな式を挙げたいなー、なんてのんびりと考えていた。

顔も成績も平均的で平凡と重々自覚している私は、決して高望みなんてしません。

きっとこの先も、平凡な学生生活を送り、平凡な職に就き、平凡な彼氏と出会い、平凡な家庭を作り、平凡に死んでいくのだろう。

うちの学校のテニス部レギュラーみたいなキラキラしたエリート人種とは、きっと一生係わり合いになんてなる事のない、平凡人生コースだ。

そんな自分の人生を、信じて疑わなかった中3の春。

そう、この日この瞬間までは――――




































ちゃん、本っ当にごめんね!」


一心に私に謝るのは、本日の主役であるはずの従姉。


「良いよ良いよ!私なら全然大丈夫だから」


今にも泣き出しそうなお姉さんに、慌ててそう言う。

もうすぐ式なのに、バッチリ決めた化粧が崩れたら大変だ…!


「でも…」

「大丈夫だって!席変わるだけなんだし!!!」


そう、ちょっとした手違いで、新婦側の披露宴の席が人数分用意されていなかったのだ。

幸い身内の1席がないだけだったので、スペースにまだ余裕のあった新郎側の身内のテーブルへと、私が移動することになった。


「それにほら…見返りは充分あったし!」


先程、ホテル側からお詫びの高級菓子折りと、同情した伯父さんにおこづかいまで貰ってしまい、実は相当ラッキーとか思ってたりする。

なので、例え知らない人だらけの席へ1人で放り込まれることになっても、全然構わなかった。


「本当にごめんね。あ、今度新居に遊びに来てくれた時に、ご馳走するよ」

「いえ、ほんとに大丈夫ですから!」


もう一人の主役である新郎にまでそう言われると、かなり恐縮してしまう。

なんだか段々見返りが大きくなってきた気がする。

この新郎は、顔が良い上に性格まで良く、料理まで相当上手いらしいのだ。

………ホント良い人捕まえたね、お姉ちゃん。


「そうだ、俺の従弟にちゃんと同い年の奴がいるから、話し相手になって貰うと良いよ」


どうやら、その人とは席も隣同士になるらしい。

俺から頼んでおくよと、お兄さんが爽やか笑顔で請け負ってくれる。

もう、ホント良い人だ…!

正直、周り全員知らない人だらけというのはちょっと不安だったので、かなり安心した。

まぁ、全く知らないおじさんおばさん相手にするより、同世代がいた方が話も弾むハズだ。

伯母さんたちの近況報告に耳を傾けながらのんびり桜湯をすすったりしていると、あっという間に式の時間になった。

話し易い人だと良いなーと、思いながら、案内されるままに待合室から式場となる広間にのんびりと向かう。

もうすぐ、この平和で平凡な日常が崩れ去っていくことも知らずに――――




























目に飛び込んできたのは、毎日といって良いほど見慣れている………氷帝学園中等部男子の制服。


「あれ、氷帝の制服やん」


この、独特のイントネーションに丸眼鏡……間違いない。

今、私の目の前にいるのは、あの有名な…氷帝学園テニス部レギュラーの忍足侑士だった。
















+++あとがき+++
関西弁解からないのに、なんでおっしー連載夢書くんでしょうね…。
しかも、おっしー最後しか出てこないし;;
関西弁、あまりにもおかしいよって所があれば、遠慮なくご指摘して下さい!
なるべくすぐに直しますので…!

こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!






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