〜それはある日、突然に〜
ぞくぅっ!
ミゲルの背に、突然悪寒が走った。
それと同時に、やっていたゲームのコントロールが利かなくなり、ミゲルの機体はあえなく弟の手によって撃墜されてしまった。
ゲームオーバーの音楽が鳴っても、構う事は無かった。
なんだか、すごく、嫌な予感がする…!
そういえばそろそろアカデミーの試験が終わる頃だという事に気付き、ミゲルは真っ青になった。
(アイツが来る…!)
ミゲルはそう直感した。
きっときっと、あの凶暴娘がやって来る…!
数日前、罠にハメた時の従妹…の顔を思い出して、ミゲルにさらなる悪寒が走った。
アレは相当、怒っているに、違いない。
一瞬あの時の行為を後悔したが、もうやってしまった事だ。
今更嘆いても、どうにもならない。
その辺よ〜く理解しているミゲルだが、過去何度嘆くハメになった事か…。
そしてまた、今回は最大級の災厄が、もうすぐ自分に降りかかって来る…!
が来たら
絶対
殺されるっ!!!
「兄ちゃん、どうしたの?」
突然立ち上がり、そそくさと扉へ向かう兄ミゲルに、不思議そうに弟が声をかけた。
ミゲルはゆったりとした動作で振り返り、親指をぐっと立てながら爽やかな笑顔で言った。
「ちょっくら俺、バックれるわ」
どうせ休暇が終わってしまえば、嫌でも宇宙にトンズラできるのだ。
とりあえず、が忘れてくれるまで、力の限り逃げ切ろう。
自らの寿命のために、ミゲルはそう判断した。
「……そう、死なないでね。骨拾うのも面倒だから」
全てを悟り切った弟は、そんな毒舌と共に送り出してくれた。
生意気な弟を力の限り殴りつけてやりたい衝動に駆られたが、今はそんな事をしている時間も惜しい。
後で絶対、泣かしてやるっ!
雲一つ無い青空を見る暇も無く、ミゲルはバタバタとアイマン家を出て行った。
「馬鹿だよな、兄ちゃんも……」
カチャカチャとゲーム機を片付けながら、先ほど慌てて出て行った兄を思い浮かべる。
「あの姉ちゃんから、逃げられるわけ無いじゃん」
自分に都合の悪い事はすっぱり忘れるは、他人への恨みだけは絶対に忘れない。
それこそ蛇よりも執念深く、末代先まで祟る勢いだろう。
例え宇宙の果てまで逃げようとも、猛スピードで追いかけてくるに違いない。
それに下手に逃げると、余計に怒りを煽るだけのような気がする。
「でも僕、何も知らないもんね〜」
大好きなが軍に盗られてしまうのだ。
その元凶の兄に、情けをかける必要は無い。
絶対、教えてなんかやらない。
「早く成仏してね」
南〜無〜とお手手を合わせて、一応兄のために祈ってやる。
お花ぐらい、供えてあげるから……
アイマン家の次男坊は、残酷なほど無邪気なお子様だった。
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+++あとがき+++
一応、絵日記に突発で書いたモノを、大幅に加筆&修正したモノです。
ちょっと短いですが、プロローグという感じなので、コレで許してやって下さい。。。
こんなプロローグ、全然予定に無かったんですけどね(ぇ
ミゲル弟、今度出す時は勝手に名前付けちゃって良いですか?
何気に出張ってるので、名無しは結構キツイです;;
残酷なお子様、大好きなんです…!
さて、次回は凶暴娘登場です。
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!
宜しければ、最後までお付き合い下されば、幸いです。
ちなみに、絵日記の絵(ミゲル兄さん)はコチラ。
挿絵みたいなモノですが、そのまんま貼り付けるのも気が引けるので…。
見たい方だけどうぞ〜。