『05:火気厳禁』の続きです。
21:押し付けないで
「アスラーンVv」
ハートマーク乱舞で呼び止められ、アスランは後ろを振り返った。
息を切らせながらアスランの元に走ってきたのは、アカデミーで同じクラスの・。
いつも元気で密かに恋心なんか抱いていたりする相手でもある。
「アスランってば良いトコロにv」
「どうしたんだ?」
抱きつくような勢いでやって来たに、そう訊いた。
いつにも増して、の笑顔が嬉しそうなのに、ドキドキする。
「あのね、コレあげるVv」
そう言って渡されたのは、手のひらより少し大きめの白い小箱。
見た目よりも、意外にずっしりと重い。
「なんだ?」
いきなりこんなモノを渡されて、アスランは戸惑った。
ひょっとして、愛の告白か?
現在上目使いでほんのりと頬を染めたに見上げられていて、ついそんな事を考え、余計にドキマギしてしまう。
アスランにはラクス・クラインという婚約者がいるのだが、この際そんな事は綺麗さっぱり忘れ去る。
「開けていい?」
「あ〜!ダメッ!!!」
箱の蓋に手をかけたアスランに、が慌てて止めに入る。
「下手に開けない方が良いよ!」
のその言葉に、ドキドキとうるさかった心臓の音が、ピタリと止まった。
それと同時に、なんだか嫌な予感が背筋を這い回る。
「アスランなら、上手く処理できると思うから」
じゃ、とそそくさとその場を立ち去ろうとするの腕を、アスランはがっちりと掴んだ。
「ちょっと待て!!!」
「は、離してよ〜!」
異様に焦る。
その姿に、アスランの嫌な予感がますます高まった。
「コレの中身、一体何なんだ?!」
アスランは明後日の方向を向いているに詰め寄った。
この間だって、自作のダイナマイトでタバコを吸う輩を一掃しようとしたのだ。
そんな爆弾魔のプレゼントだ。
信用できないに、決まっている…!
(それなのにっなんで俺は…!)
愛の告白などと思ってしまったのか…。
馬鹿な自分を後悔するアスラン。
涙目での両肩を揺す振り、問いただす。
「…………えへv」
「えへvじゃないっ!!!!!」
いまさら可愛い子ぶったって、もう騙されないぞ!
「コレの、中身は、何なんだ?」
一言一言区切っての問いに、がようやく口を開いた。
「……………時限爆弾、かな?」
「かな?じゃないだろうっ!!!!」
一体何でそんなモノをっ!!!???
言葉にならない叫びに、が答える。
「いや〜、作ったは良いけど処理に困っちゃってさぁ…」
作るなよそんなもんっ!!!!
そう叫びたいが、あまりの事態に、声が出ない。
わなわなと指先が震える。
「んじゃ、そういうことで、事後処理よろしく〜Vv」
そう言って時限爆弾をアスランに押し付けて、その場を立ち去る。
それをアスランは呆然と見送った。
「あ、アスラン」
が何かを思い出したようにふと立ち止まる。
そして、更なる爆弾を投下した。
「それ、後5分位で爆発するからね」
「!?」
「それじゃあ、よろしく〜v」
すっきりしたと、爽やかな笑顔では逃走して行った。
その後、アスランの決死の爆弾処理で、アカデミーは事なきを得たそうな……。
押し付けないでっ!!!!!
+++あとがき+++
突発で書いてしまいました…。
一応、『05:火気厳禁』の続きです。
まさかまたこのヒロインを書くとは…(←どっかで聞いた台詞
そこらのテロリストより危険です。。。
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!