05:火気厳禁
「………?」
「何?アスラン」
「…………とりあえず訊いておくが、それは何だ?」
アスランは、の手に握られている物体を凝視しながら、恐る恐る訊いた。
「え?見て解かんない?」
「いや、解かるけど……」
彼女の手には、先端に細い縄が付いている、細長い棒状の物体が握られていた。
訊くまでも無い。
ダイナマイトという名の爆弾だ。
「この前やった花火の残りカスその他色々詰め合わせて、作ってみました〜Vv」
「作るなよっ!!!!」
思わず突っ込むアスラン。
後始末をするのはどうせ自分に回ってくるだろう事が予測できるだけに、その突っ込みには余計に力が籠もる。
アスランはの持っていたダイナマイトを、容赦なく取り上げた。
「没収!」
「え〜?!ケチ〜〜〜!!!」
「ケチじゃないっ!!!!」
『ケチ』とかそういう問題ではない。
下手をしたら命を落としかねないのだ。
「ったく、何でこんなモノ作ったりなんかしたんだ?」
「だって〜〜〜」
が頬を膨らませてアスランの所業にむくれている。
そしてイヤイヤと首を振る。
その姿を可愛いなどと思ってしまうのは、彼の中に潜んでいる恋心故だろう。
「、良い加減にしないと、怒るよ?」
爽やかな笑顔で言うアスランに恐怖を覚えたのか、が渋々話し出した。
「私、タバコって大ッキライなのよね」
「それで?」
要領を得ない話の内容に、アスランは先を促がした。
「で、この前校舎裏で見つけちゃったの」
は大事な証拠とばかりに、密封できるビニールの袋に入ったタバコの吸殻を、アスランに見せた。
「禁止されてるのに吸うなんて、馬鹿よね〜」
「うん。それで、どうしたの?」
何だかだんだん嫌な予感がじわじわとアスランの背筋を這い上がってきた。
「それでさ〜、ムカついたから煙で反応する発火装置とコレ作って、そこら中にセットしてたんだけど……」
「ちょっと待て!」
聞き捨てならない単語を聞き取って、アスランはなおも話そうとしているに待ったをかけた。
「…今、『そこら中に』って聞こえたんだけど?」
コレだけじゃなくて、そこら中にセットしたのか?
「うんv」
満面の笑顔で答える。
その笑顔は、今までアスランが見てきたどの笑顔よりも、輝いていた。
(今日の夕飯はロールキャベツ〜〜〜〜〜)
いきなり現実逃避しだしたアスラン。
頭の中は、すでにお花畑になっている。
だが、事態はかなり切迫していた。
どっかーーーーん!
轟音がそこら中に轟く。
すでにどこかの発火装置が作動したらしい。
「おお!玉屋〜〜〜!!」
(………俺、どうしてこんなコ好きになっちゃったんだろう?)
もうもうと立ち上る煙を見ながら叫ぶを見て、アスランはそう思った。
「思ったより威力あったなぁ…」
の呟きに、アスランは我に帰る。
このままでは、死傷者が続出する。
「!!一体いくつ、どこに取り付けたんだっ!!!!!」
「ん〜?どこだったけ??色々と付けまくってたから……」
「今すぐ全部思い出せっ!!!!!」
「え〜っと………」
その後、アスランはたった一人、徹夜で爆発物処理を行い夕食のロールキャベツを食いっぱぐれたらしい。
そして『ちょっと不良ぶってタバコを吸ってみる』輩は、もう二度とタバコを吸わなかったそうな。
それ以降は周りの者に『歩く爆薬庫』と心底怖れられたそうな。
この娘には、火気厳禁!
+++あとがき+++
こんな危険なヒロインで、ごめんなさい;;
アスランも微妙に壊れてますね〜。
……申し訳ございません(土下座
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!