06:あ』の続きです。







07:うん






























「だからディアッカ!ごめんってば」


「うん」


「本当に本当にごめんなさいっ!!!」


「うん」


「だから、頼むから他の言葉も喋ってよ〜〜〜!!!」


「うん」


平謝りに謝るに、ディアッカは先程から『うん』以外の言葉を返していない。

普段余計なことまでベラベラと喋る彼にしては珍しい。

それもそのはず。

彼は、相当怒っていた。

つい先程、イザークに殺されかけたのだ。

この栗色の髪の少女と、隣になにくわぬ顔で少女と一緒にいるオレンジ色の髪の少年の所為で。

彼らのちょっとしたイタズラのおかげで、とんだとばっちりを受けたディアッカ。

『絶対後で助けるから!』と言い残し、ディアッカを生贄にして逃げおおせたとラスティはその後、案の定助けに来なかった。

おかげでイザークに、危うく処刑されそうになったのだ。

刑の執行中にアスランとニコルが来なかったら、彼の命は今頃宇宙の塵となっていただろう。

いつもなんだかんだと笑って許してしまう彼にしては、珍しく今回の怒り(というか恨み)は相当深かった。


もこんなに謝ってることだしさ〜、いい加減許してよ」


ラスティの発したその言葉に、ブチ切れそうになる。


(だったらお前も謝れよっ!)


先程から賢明に謝っているのはだけで、その隣に居るラスティは、しぶしぶに付き合ってぼ〜っと突っ立っているだけだった。

だが、こっちがキレたら向こうもイマドキの若者らしく逆ギレしてくれそうなので、なんとか自分を抑えるディアッカ。

この『ヴェサリウスのイタズラ大王』は敵に回したくない相手だった。


「ラスティはもうあっち行って良いから、後はあたしに任せてよ」


ディアッカの心情を察してか、がラスティを遠ざけてくれる。


「…ディアッカ、本当にごめんね」


が、本当に申し訳無さそうに謝る。

うるうると上目使いで謝るその姿は、大変可愛らしかった。

だが、彼女がこんな殊勝な態度をとるなんて、ナニか絶対、裏がある。


「………今日のデザート、何だっけ?」


初めてディアッカが『うん』以外の言葉を口にする。


「シュークリームVv」


嬉しそうにすぐさまが答える。

つまりは、それが狙いか。

ディアッカは、ことあるごとにに食後のデザートを提供していた。

いや、させられていた。


「ディアッカ〜Vv」


が猫撫で声でディアッカに擦り寄る。

とことん利用されてる気がする。





「……解かった。やるよ」


うるうると自分におねだりするに、滅法甘いディアッカだった。


「本当?!ディアッカ大好き〜Vv」


そしてこの心底嬉しそうな表情とこのセリフが、ついついおねだりを聞いてしまう最大の要因だった。

自分のこの『下僕体質』を心底呪うこともあるディアッカだが、に抱き付かれている今はそんなこと気にしない。


「ディアッカ、早く食堂行こう!」


「うん」


そうして嬉しそうに手まで繋いで出て行く二人。




「っていうか、ただの馬鹿だろ」




怒ってたんじゃなかったのか?あのトリ頭。




談話室を出て行く二人を見送っていたラスティが呟いた言葉は、誰にも聞かれることは無かった。































+++あとがき+++
一応、『06:あ』の続きです。
とことん利用されてるディアッカ。
やっぱり憐れ。そして馬鹿(笑)
そういや、ディアッカ単品はコレが初です。
…なんか、色々とごめんなさい;;

こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!