セクシャルハラスメント


































「ニ〜〜〜〜コ〜〜〜〜ル〜〜〜〜〜Ｖｖ」



バサッ



「うわっ」


すれ違いざま軍服の上着部分を捲られ、ニコルが慌てる。

「何するんですか？！さん！！！」

別に下にはズボンもはいているし、第一自分は男なのだからどうってことないが、スカート捲りをされたみたいでなんだか気恥ずかしい。

頬を染めて怒るニコルに、はうんうんと頷いた。

「やっぱりニコルは初々しい反応してくれて、良いわぁ〜」

何やらしきりに一人納得している。

「…今度は何の遊びですか？」

『ニコルは』と言うことは、他の者にもやっているハズだ。

「軍服捲り」

そのまんまだ。

「ほら、パイロットの制服って下の部分スカートみたいじゃん？前から憧れてたのよねぇＶｖ」

はうっとりと宙を見詰め、両手を合わせて語りだした。


「……セクハラですよ？」


ニコルのその言葉にも、は何でも無いことのように

「いいじゃん別に。男なんだから。減るもんでも無しに」

と、なんとも自分勝手なことを言う。

「でも、結構皆慌てるもんよね〜。すっごい楽しいわＶｖ」

は喜々として辺りを見渡し、次のターゲットを捜していた。

「一体何人の人を手にかけたんですか？」

まるで『何人殺したんですか？』とでも言うようなニコルの言葉。

確かに、うら若き乙女にこんなことをやられた者は、しばらく立ち直れないかもしれない。

「ん〜、まだそんなにヤってないよ。さっきミゲルにやったら鼻で笑われたし」

聞けば、必ず誰かしら一度は『軍服捲り』をやるらしい。

しかも、男同士で。

厳つい男達が『スカート捲り』よろしく『軍服捲り』をやりあっている姿を想像して、ニコルは気分が悪くなった。

「だから同期のパイロット狙ってるんだけど…アスランたち見なかった？」

「まだ、やるんですか？」

「ニコルもアスランとかイザークの反応、見たくない？」

普段クールな二人がどんな反応をするか。

確かにそれは好奇心をそそられる。

「………見たい、です」

「でしょ？」

二人は、にっこりと可愛らしい…だが腹黒い笑顔で微笑み合った。


その笑顔を偶然目撃した一般兵は、その日から原因不明の悪夢にうなされ、胃を壊したという。





































「アスラン、ちょっと良いですか？」

食堂にて。

アスランは、弟分でもある同僚のニコルに、そう呼び止められた。

「ん？何だ、ニコル？」

笑顔で近づいて来るニコルに、アスランも微笑み返して応える。

完全に、油断している。

ニコルは心の中で悪魔の如く微笑んでいたが、表面上は天使の笑顔を崩さない。

まさに、腹黒。

そしてその天使の笑顔で、勢い良くアスランの深紅の軍服を捲った。



バサッ



「？！」

アスランは、自分の身に何が起きたのか、一瞬解からなかった。

しばし固まる。

「………………ニ、ニコル？一体何を？？」

一応問い掛けてみるが、ニコルはニコニコと真意が読めない天使の笑顔を崩さない。

「それじゃぁ、アスラン。用事が済みましたんで、僕はこれで失礼します」

ニコルはとっとと踵を返した。

アスランの問いには応えないらしい。

「あ、そうだ」

食堂のドアをくぐる寸前、ニコルは何かを思い出したかのように再度アスランの方を向いた。

「今のアスランの面白い顔、ばっちり撮りましたからＶｖ」

その手には、いつ撮ったのか先程の光景がばっちりと写っているポラロイド写真が握られていた。

（いつの間に！？）

「コレは色々と利用させて頂きますね。それでは〜」

「まっ待て、ニコル！！！」

アスランの静止の声も空しく、ニコルはさっさと食堂を後にした。

『色々と利用』だなんて、どんな恐ろしいことに使われるか………

一人残されたアスランの絶叫が、ヴェサリウスの艦内中に響き渡った。




































「上手くいったわね、ニコルＶｖ」

の笑顔でのその言葉に、ニコルもにっこりと微笑み返した。

「はいｖ僕もうなんかクセになっちゃいそうです」

あんな呆然としたアスランの間抜け面なんて、滅多に拝めるもんじゃない。

「でっしょ〜〜〜！」

味方を得たとばかりに、が喜々としてうんうんと頷く。

その手には、ポラロイドカメラが握られていた。

「次は、イザークね」

「はい。また記念撮影お願いしますね」

が近づくと明らかに警戒するアスランとイザークに、今回はニコルが『軍服捲り』をする作戦になっていた。

ついでに弱みの一つも握ってやれと、が『記念撮影』と言う名の『盗撮』をする。

これはもう、セクシャルハラスメント（性的嫌がらせ）と言うよりは、ただのハラスメント（嫌がらせ）だ。



「ふふふｖお主も悪よのう、ニコル」

「コレを考え出したさんほどではありませんよ」

「そうだ、ディアッカはどうする？」

「あんな色黒が恥らっても気色悪いだけなので、やめておきましょう」

「それもそうだね〜」


クスクス笑いながら交わされるその会話を偶然聞いた一般兵は、原因不明の発熱により、一週間寝込んだという。











そして弱みを握られたアスランとイザークは、ことあるごとにソレを利用されたそうな。

















天使の皮を被った悪魔たちの笑い声は、いつまでもヴェサリウスの艦内に響いていた。




























＋＋＋あとがき＋＋＋
…本当にコレ、ニコル夢でしょうか？
っていうか、初のニコル夢がコレで良いんでしょうか？（訊くな
最初はまだ白かったのに…最後すっごく黒くなって…；；
ヒロインさんまで黒くなって……（吐血
そしてイザークのスカート捲り（違）シーンは、めんどくさいのでカット（待て
イザークは、真っ赤になって怒ってたそうです。

……ごめんなさい。


こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました！