10:もう少し待ってて
………ピピッピピッピピッピピッ
なんだか、リズミカルな音楽が聴こえる――――
(どっかでカーニバルでもやってんのかな?)
そんな事を思いながら寝返りを打った。
音楽はどんどんリズムと音量を上げていき、カーニバルもいよいよ最高潮に盛り上がっているようだ。
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
(……随分と賑やかだなぁ)
後でニコルと観に行こうと思って、ふと気付く。
(嗚呼、今日は映画観に行くんだっけ……ん?)
今日
ニコルと
映画を観に行く?
ちょっと待てよ?!
ガバッ!!!!
起き上がりざま、枕元にあった目覚まし時計を、引っ掴んで目の前にかざす。
目覚まし時計は、ピピピピとけたたましく鳴り響いていた。
カーニバルと思ったのは、コレの音か……。
目覚まし時計は現在、AM10:30と記していた。
ニコルとの待ち合わせ時間は、AM10:30……。
ヤ バ イ !!!
完璧遅刻だ。
よりによって、ニコルとの待ち合わせにっ…!
パジャマを脱ぎ捨てて、バサバサと今日着るはずの洋服をタンスから漁る。
あのワンピース、どこやったんだっけ?!
「ああぁああぁぁあああたしのバカーーー!!!」
何故目覚まし時計の音をのん気に鑑賞してたんだ!
普通、煩い音として認識するハズだろっ…!
ピーピーピーピロリーピロリー♪
「ぎゃっ!?」
突然、机に放置していた携帯が鳴った。
この着信音は……
ピッ
「……はい」
『―――さん?』
「ニコル…」
やはり、待たせ人のニコル・アマルフィくん(15)だ。
『今日、『ポチ公前に10時半』でしたよね?』
「うん。ごめん。今向かってるからっ!」
黒いモノを含んだニコルの問いに、慌ててそう答えた。
ぶっちゃけまだ家なんだけど、本当の事言ったら、ナニをされるか解からない…!
「すぐ着くから、もう少し待ってて!」
携帯を片手に持ちながら、ようやく見つけ出したワンピースを、乱暴に着た。
ぼさぼさの髪も、ざかざかとブラシで整える。
『解かりました』
ニコルの呆れたような声色に、ほっと一息ついた。
どうやら、あまり怒ってはいないようだ。
『僕、てっきりまださん家にいるんじゃないかって思ったんですけど、違ったみたいですね』
ニコルのその言葉に、一瞬背筋が凍りついた。
な、なんで知ってるんですか?!
『もしそうだった場合のお仕置きも色々考えてたんですよ』
「…ま、まさかぁ!そんなわけないじゃん!!!」
『そうですよねぇ』
「そうそう」
「『アハハハハハハ』」
乾いた笑いが、耳に痛い。
「ほんと、すぐ着くからっ!もう少しだけ待ってて!!!」
携帯を切り、鞄を引っ掴む。
コンマ5秒の猛スピードで用意を整え、階段を転げるように駆け下り、玄関へと急いだ。
待ち合わせ場所は、ここから普通に歩いて30分の距離。
・、死ぬ気で走りますっ!
だから、大魔王様――――
もう少しだけ、待っていて下さい…!
+++あとがき+++
目覚し時計の音を寝ぼけて『リズミカルな音』と認識したのは、私です。
いや、ちゃんと起きられましたよっ;;
なんか、色々とごめんなさい。。。
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!