08:わかりません。
「え〜っと、ここがこう?」
「違いますよ、ここはこうです」
ニコルが、もう何度目になるか分からない説明を、再度繰り返す。
は、唸りながら賢明にそれを頭に叩き込む。
が、イマイチ理解していない顔だ。
「うぅ〜、こんな細かいの解かんないよ〜!!!」
案の定、とうとう投げ出してしまう。
だが、すかさずニコルの説教が飛ぶ。
「後もうちょっとなんですから、しっかりして下さいよ」
口には出さないが、『付き合わされる僕の身にもなって下さい』とその瞳が語ってる。
更に、ちくちくちくちくと、の痛い所を突いてくる始末。
将来立派な小姑になれるよと、思わずにはいられなかった。
「――――なんですか?」
「いえ、なんでもないですっ!」
大魔王様に心を読まれないうちに、さっさと課題に向き直る。
だが、細かい作業が嫌いなには、見ただけで眩暈が襲ってきた。
「え〜っと、ここ繋げば良いの?」
「違います!そこ繋いだら、爆発しますよっ!!!」
「え〜?ここ??」
「だから違いますって!」
現在、は危険物処理堂々1位のニコル・アマルフィ様に課題を手伝って貰っている。
だが、元々細かい作業が苦手な上大嫌いなため、先ほどから全然進んでいない。
課題は『ミニ時限爆弾の製作』で、コレが中々に難しいのだ。
ニコルの長々とした説明が、の右耳から左耳へと流れていく。
無論、流れるだけで留まる事は無い。
「さん、ちゃんと解かってるんですか?」
「………そこはかとなく」
長い長い溜息を吐き、嫌味たらしく首を振る大魔王様。
普段の天使の微笑みは何処へ行ったのか…。
「そうだ」
ポンと手を打って、ニコルはのやる気を出させるための、魔法の言葉を口にした。
「それが出来上がったら、イザークの部屋にでも仕掛けてみましょう」
「ほんと?」
とたんに、の顔がキラキラと輝きだした。
「ええ。絶対バレないようにしますから」
日頃の恨み、ぶつけて下さい。
その大魔王様の暖かな励ましに、は拳を握って気合を入れた。
数分前の死んだ魚のようだったは、今は生き生きワクワクと表情を輝かせている。
「よぉっし!頑張るぞ〜!!!」
「その調子ですよv」
二人の会話を、部屋の外からそっと聴いていたアスランは、すぐさまその会話を記憶の中から消去して、心の底でそっとイザークの冥福を祈った。
+++あとがき+++
嗚呼、なんだか物凄くごめんなさいな作品です(土下座
爆弾仕掛けるの、イザークか変体仮面か悩みましたが、アカデミー時代っぽかったので、結局イザーク。
きっと普段、イザークに色々と嫌味を連呼されているんでしょう。
お題もイマイチ消化されてませんが、これで勘弁して下さい;;
自分で考えたお題なのに(笑)
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!