04:本気デスカ?!
「――――、聞いているのかね?」
「はいっ、聞いてます!」
・、只今クルーゼ隊長の私室にてお説教を受けております。
隊長の話はくどくどとしかも長々としていて大変眠く…じゃなくて、大変ためになるお話で思わず聞き入ってしまいます。
「……以後、気をつけるように」
「はっ!では、私はこれで…」
これ以上隊長の話が長くならないようにビシッと敬礼してさっさと退室しようとしたが、クルーゼ隊長にまた呼び止められてしまった。
「まぁ、待ちなさい」
(……ったく、なんなんだよ変態仮面)
心の中ではそう毒づいても、真っ白い笑顔を絶やさずに隊長に向き直る。
「何ですか?」
「ついでに、君にはこれをやってもらおう」
そう言われて差し出されたのは、山のような書類。
「期限は明日までだ」
さらっと言われた言葉に、眩暈がした。
これを、一人でやれと?
「良いかね?明日までだぞ?」
そうずずいと顔を近づけてまで念を押されたので、頷くしかなかった。
仮面引っぺがしたくなるので、ドアップはやめて欲しい。
隊長はあるだけの書類をすべて私に渡すと、後はもう用済みとばかりにシッシッと犬猫にでもするかのごとく追い払ってくれた。
……非常に、ムカつく。
「…………隊長、私を敵に回しましたね?」
てくてくと歩きながら、私は不気味な微笑みを心の中の仮面隊長に向けた。
途中すれ違った一般兵が怯えたように後ずさったが、そんなこと知ったこっちゃない。
見てろよ?
こうなったら……
こうなったら…………
「ニコルに言いつけてやる〜〜〜!!!」
大魔王様なら、呪ってくれるに違いないっ!
私は、叫びながらニコルのいるであろう談話室まで、猛スピードで進んで行った。
「――――は?お前、何言ってんだ??」
ニコルに泣きついた私に向かって放たれた第一声は、ディアッカのそんな言葉だった。
「だってぇ、このままじゃ悔しいじゃない!」
「だからって……仮にも隊長だぞ?!」
「それに元々はが悪いんだろ…」
アスランとイザークまでもが呆れたように言うが、そんなの無視する。
「ニコル〜〜〜!!!!!」
「あ〜、はいはい」
ニコルは苦笑しながら抱きついた私の背中をぽんぽんと叩いてくれた。
ううっ、この空間で優しいのはニコルだけだよ。
いつも私の味方でいてくれるニコルは、年下なのに時々お兄さんのようだ。
それに比べて、こいつらは……!
「大体、私は悪くないんだからねっ!!!」
そう訴えても、アスランもイザークも疑わしい目で見てくる。
本当に、悪くないんだってっ!
「クルーゼ隊長に食事誘われたの断ったら、上司との付き合いをくどくどと説教されたんだから!!!」
その上、お土産にどっさりと書類まで付いてきたのだ。
理不尽、この上ない。
「あの仮面、そんなセクハラしたんですか?」
「う、うん…ニコル?」
談話室の温度が、1、2度下がったような気がした。
恐る恐るニコルを見ると、彼は私を安心させるかのようににっこりと微笑んでくれた。
大変可愛らしい笑顔だけど、暗黒オーラ出てますよ。
目が、笑ってないから…!
「ニコル?一応、上司なんだから…変なことはやめような??」
アスランも、ビクビクしながらも宥めるようにニコルに声をかけるが、かなり逃げ腰になっている。
少しビビらせれば、ディアッカやイザークまでも一目散に逃げ出すようなカンジだ。
面白いくらいに顔が真っ青だよ。
「大丈夫ですよ、絶対バレませんし」
あの仮面、生まれてきたこと後悔させてやりますから。
黒い笑みを見せながらニコルが懐から取り出したのは、藁人形。
それを何に使うのかは、言われなくてもよぉっく解かっている。
ニコルが心底楽しそうに微笑んだ。
心なし声まで弾んでいる…。
魔王、降臨。
いや、むしろ召喚か?
当初の目的通り大魔王様を召喚することに成功したけど…間近で見ると怖いようっ!
「この間覚えたよく効くおまじない、試してみましょうかね」
『おまじない』じゃなくて『呪い』です。
……隊長室が、惨劇と化すかもしれない。
+++あとがき+++
微妙な作品で、申し訳ない……!
もっとヒロインと甘々なのを書かないと、大魔王様に呪われそうです;;
ひぃっ、それだけはご勘弁を…!!!
仮面隊長がその後どうなったかは、皆さんのご想像におまかせします。。。
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!