僕のペット』設定ヒロインです。







14:の痛む原因






























!」


「あ、ニコルくん!」


元気良くニコルに駆け寄って行くの姿を見て、イザークは自分のイライラが最高潮に達するのを感じた。

クルーゼ隊のエリートパイロット、ニコル・アマルフィとデュエルの整備士、は、幼なじみ同士ということが、つい最近判明した。

彼らは昔から仲が良かったらしく、今現在もヒマさえあれば仲良く一緒にいるほどの間柄だ。

なぜかイザークはそのことがとてつもなく気に入らなかった。


(デュエルの整備中に何をやっているんだ!)


お前はオレの整備士だろうっ!


そう叫びたかったが、のそばには悪魔の大王、ニコルがいた。

この間、ちょっとをブン投げただけで酷い目に遭ったイザークは、それからは、ニコルを目の前にして迂闊な発言ができないでいた。

そのため、ずっととニコルを睨んでいることしかできない。

非常に、情けない。

そんなことを知ってか知らずか、は楽しそうにニコルと談笑している。

周りを見渡せば、他の整備士たちが微笑ましく二人を見守っていた。


(注意しろよっ!)


可愛らしい二人のツーショットは、すでにガモフの癒し系名物となっていた。

ちょっとくらいサボっていても、に甘々なおじさんたちは笑顔で許してしまう。

さらに、お菓子まで差し入れしてしまう始末。

『これがザフトの軍人の姿か?!』と、イザークは発狂してしまいそうになる。

そんな自分を無理矢理抑えつけるイザーク。

あんな奴ら、相手にしなければいいのだ。

その方が、精神的にも肉体的にもこちらの被害は無いのだから。

だが、そうは思っても、どうしても気になってしまう。

ちろりと横目でを見ると、まだ楽しそうにニコルと何か話している。

その楽しそうな笑顔を見て、イザークはまたイライラが募った。

同時に、なぜか胸が痛み出した。

あんな楽しそうな笑顔は、自分には向けたことがない。

そう思うと、またちくりと胸が痛む。

まるで心臓を、針で刺されたような痛み。


(なんで胸が痛いんだ?)


自分の左胸を片手でそっと抑えながら、イザークは真剣に考えた。

自分はコーディネイターなのだから、心臓病の類ではないだろう。

別に怪我をしているワケでもない。

ヘンなモノを食べたら、胸ではなくて腹が痛むハズ。

そもそもそんなヘンなモノ、食べてないしやっぱりコーディネイターなのだからある程度なら消化できるだろう。


だったら何だ?


考えてみるが、彼の優秀な頭脳でも答えが弾き出せない。

考えれば考えるほど、解からない。


「……………くそっ」


自分でも解からないことに、イライラする。


「イザークさん」


突然声をかけられた。

見ると、がイザークを下から覗き込んでいた。


「…なんだ?」


ついぶっきらぼうに応えてしまうイザーク。

は、そんなことにもめげずに、一生懸命イザークに話しかける。


「えっとですね、さっき先輩に飴もらったんですけど、イザークさんもいかがですか?」


おいしいですよ?


そう言って、が差し出した小さな掌には、大きな飴玉が三つも転がっていた。

イザークは、まじまじとそれを見て、一つを手に取り、口に入れた。


甘い。


そしてあとの二つは、の口の中に無造作に押し込む。


「むぁっ…!」


もごもごともがいたが、手で口を押さえつけ、吐き出せないようにする。


「……いじゃーくしゃんっ!!!」


が涙目で抗議の声を上げるが、飴の大きさに負けて言葉になっていない。

両頬がぷっくりと膨れて、ハムスターのようになっている。

ぐりぐりとの頬っぺたを弄りながら、イザークは低ぅい声で言った。


「さっさと、デュエルの、整備をしろっ!」


少しずつ区切りながらのその言葉に、ははっと我に帰る。

完全に、仕事のことなど忘れていたらしい。


「ふぁいっ!ごっごごごめんなひゃいっ!!!」


慌ててデュエルにわたわたと駆け寄る

その姿を目で追い、イザークは無意識に口元が緩んでいた。





その表情が、突然苦悶の表情へと変化していく。



「……いた…いっ……痛い〜〜〜!



心臓発作張りに胸が痛かった。


「いっいじゃーくひゃん?!」


がおろおろと慌てているが、どうすることもできない。

一体なんでこんなに痛むのかと、朦朧とした意識の中で視線を彷徨わせていると、目に飛び込んできたのは、緑の髪の少年のにこやかな笑顔。

その黒い笑顔を見た瞬間、イザークはすべてを理解した。



ニコル〜!貴様のせいか〜〜〜!!!



叫びたいが、苦痛のため声が出ない。

イザークは、悶えながらもニコルを睨みつけた。

そんな睨みもニコルはさらりと真っ黒な笑みで受け流す。










もうをイジメるのはやめようと心の底から思ったかどうかは、イザークにしか分からないことだった。

















イザークが、ちくりと胸が痛む本当の理由を知るのは、まだまだ先のことのようである。































+++あとがき+++
『僕のペット』番外編(?)です。
ヒロインとの絡みが少なくてすみません;;
微妙にニコルとのVS夢な気もしますが、イザーク視点ってことでイザーク夢です(無理矢理
え〜、補足しておきますと、ちくりと胸が痛むのは恋心故、心臓発作はニコルの仕業です。
イザークへタレで鈍い上に相変わらずいじめっ子です。
そしてニコルは黒いっ;;
ニコル…電波でも飛ばしてるんでしょうか?
っていうか、心臓発作起こさせる気はなかったのになぁ…(ニコル効果

こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!