10:悲しい運命
「お、3s減った」
「僕は2s減りましたよ」
「…4s減ってる」
「え?!すごいです、アスラン」
「何を?!俺だって4s減ってるぞ!」
「……あんたたち」
無責任に垂れ流されている会話を聞いて、は小さく呟いた。
握り締めた拳が、ブルブルと小刻みに震えている。
「こんなことで張り合うなよ、イザーク」
の呟きにも気付かず、なおも続行される会話に、とうとうはブチ切れた。
「あんたたちいい加減にしなさいよ!!!」
部屋中に響くその大絶叫に、じゃれあっていた少年たちの動きがピタリと止まる。
「なんだってダイエットしてるあたしの体重が減らないで、あんたたちの体重が減ってるのよ〜〜〜!!!!」
そう。が血の滲むようなダイエットをしていても、の体重は変わらず、その代わりとばかりにアスランたちの体重が減り続けているのだ。
としては、面白くない事この上ない。
「なんだってって言われてもなぁ…」
「ふん、貴様の努力が足りないんじゃないのか?」
「なんですって?!」
イザークの一言にさらにブチ切れる。
体中から殺気がほとばしっている。
「いつもより訓練とか頑張ってるもん!」
そう、いつもより運動量を通常の1.5倍に増やしているのだ。
これで減らないなんて、絶対おかしいっ!
「で、それに付き合わされてるオレ達の体重が減ってんだよな…」
ディアッカがどこか遠い目をして言った。
彼らはに朝っぱらから叩き起こされて、早朝練習までしている。
「でも、食事の量は減らしてませんもんねぇ」
「おやつもな」
その一言に、うっと詰まる。
確かに食事の量は減らしていない。
「でもでもっ、増やしてはいないもん!!!」
決して食べ過ぎているわけでもないしと心の中でイイワケを続ける。
「案外、全部筋肉になってたりしてな〜」
ピシリ
ディアッカの一言に、その場の空気が凍った。
確かに前より力が強くなった気もするし、腹筋なんかもカッコ良く割れちゃってたりも…する。
筋肉は重いのだ。
たとえ脂肪が消化されても、全部筋肉に行ってしまっては元も子もない。
むしろ、逆に増えるかもしれない。
「うわ〜ん!どうしよう!!!!!」
「まずは、食事制限から始めたらどうだ?」
「あたしの生きがいを奪う気かぁ!!!!」
ダイエットをしてても毎日きちんとご飯とおやつが食べたいがために訓練に励んでいたのだ。
それだけは絶対イヤだとが駄々をこねる。
「…お前は痩せる気あるのか?」
「あるからダイエットしてんでしょうが!!!」
筋肉強化やってるだけじゃないのかというツッコミは、誰も言えなかった。
言ったらまず、絞め殺される。
「じゃ、今日からおやつ禁止な」
「え〜!?」
「俺たちも付き合うから、な?」
諭すような優しいアスランの声音に、は渋々ながら頷く。
「…………うん。頑張る」
大きな瞳を潤ませながらこくんと頷くの姿は、青春真っ盛りな少年たちのハートを鷲づかみにしていた。
なんとしてでもダイエットを成功させてやろうと、意気込む彼ら。
そうでないと、自分たちの今までの苦労が報われない。
こうして、彼らの体重は着々と減っていくのであった。
+++あとがき+++
短い上、相変わらずドリー無…ごめんなさい;;
アスランは、気苦労なんかで胃が荒れて、ますます痩せそう(笑)
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!