09:解析
カチャカチャ
カチャカチャ
君の指が、滑って行く―――
「…ねぇ、キラ」
先程から夢中になってパソコンを弄っているクラスメイトに、声をかける。
「ん?」
ほとんどパソコンの方に意識を集中しているためか、ほとんど生返事のキラ。
話し掛けても、パソコンの画面から目を離すことは無い。
それでも一応、訊いてみる。
「また、カトウ教授からの頼まれモノ?」
「うん。明日の午後まででさぁ」
愚痴りながらもキラは手を動かし続けている。
流石はコーディネイター。
器用なモノだ。
喋りながらでも全然タイピングの速度が落ちていない。
凄いスピード……
ついつい、見入ってしまう。
アメジストの瞳が、真剣にパソコン画面に注がれ、長くて綺麗な指がカタカタカチャカチャとキーボードをなぞる。
「相変わらず、速いねぇ…」
何かのプログラムの解析をしているらしい。
タイピングもまともに出来ない私は、その解析能力だけでも尊敬モノだ。
「終わりそう?」
「う〜ん、微妙かな…」
色々と話し掛けてしまう私に、キラは嫌な顔一つせずに受け答えしてくれる。
人間としても、よくできた人だ。
ますます尊敬しちゃいますよ。
「………ふぅ」
溜息を一つ吐き、大きく伸びをするキラ。
パソコンも、終了させている。
「あれ、もう終わったの?」
「まさか。休憩だよ」
にこっと私に笑いかけながらキラは席を立った。
「、食堂行こう」
「うんv」
待ってましたとばかりに、私はキラの後に続いた。
実は食事に誘おうと、キラに話し掛けたのだ。
「んもう、可愛いなぁキラは。お姉さん奢っちゃうぞ?」
何だか弟みたいなキラに、定食でも何でも奢ってやりたい気分だ。
「……同い年でしょ」
『可愛い』よりも『カッコ良い』と言われたいキラは、私の言葉にぷくっと頬を膨らませる。
そんな仕草がよけいに可愛らしいんだって。
宝石みたいに綺麗な紫の瞳。
少し固いけど触り心地の良い茶色の髪。
本当に君は、可愛らしい。
すっかりむくれてしまったほっぺを突付いてみる。
「うわっ、やわらかい〜Vv」
お肌まですべすべだ(羨ましい…
「もうっ…B定食ね」
おさわり賃とばかりに、B定食を要求するキラ。
本当に、性格まで可愛らしい(っていうか、憎たらしい
そしてキラは、イタズラっぽい笑顔で―――
「、次の講義サボっちゃおっか?」
「えぇ?!」
「解析もまだすんでないし、やっぱ奢ってもらうんだからお礼しなくちゃね」
なんだかイヤな予感がする……。
「…どっどんなお礼デスカ?」
恐る恐る訊いた私に、キラは黒い笑顔で微笑んだ。
「後でたっぷり教えてあげるからv」
すでに腕を掴まれてて、逃げることも出来ません。
『まずは腹ごしらえ』とばかりに、ずるずると私を引きずりながらキラは食堂へ向かって行く。
もう、のん気に可愛いなんて言えなくなりました。。。
タイピングがすごく速くて、可愛くって、ちゃっかりしてて………
そしてちょっぴり(いや、かなり)黒い君。
でもまぁ、そんな君も、大好きです。
+++あとがき+++
初のキラ夢です。ヘリオポリス時代…かな?
黒い…そしてこの後は微妙に裏逝きですか?!(吐血
キラを解析してみよう!とばかりにやってみたんですが、全然できてませんね(ダメダメ
黒キラ…中々に暴走してくれました(特に最後
へタレな某おかっぱとは、大違い(笑)
タイピング、キラくらい速くなってみたいもんです。
目指せ!コーディネイター!(絶対ムリ
こんな駄文をここまで読んで頂き、ありがとうございました!