『学園天国』設定ヒロインです。
08:雨天決行
「………なぁ」
「何よ?」
「本っ気で行くのか?」
とある休日の朝。
ミゲルは目の前の少女に、恐る恐るそう訊いた。
対する三つ年下の従妹、は、その問いににっこり笑って
「もちろんv」
と、元気良く肯定してくれた。
「屋外プール…だったよな?」
今日のお出かけ場所を、一応確認してみる。
「そうだけど?」
それがどうかした?とでも言うように、何でも無いことのように返す。
ミゲルは、窓の外をちらりと見た。
外の天気は、プラントにしては珍しく、これでもかってほどの土砂降りだ。
こんな日にプールに行く馬鹿は、いない。
「せめて、映画にしないか?」
「絶対イヤ!」
ミゲルの当然の提案にも、は首を振った。
「今日を逃したら、次いつミゲルとプールに行けるか解かんないじゃん!」
確かに、次にいつ休みが取れるかも解からない状況だ。
以前は頻繁にと外に遊びに行ったミゲルだが、軍に入ってからは中々休みが取れず、ここ最近全然構ってやれていなかった。
「ね、行こうよ〜!夏が終わっちゃうよ〜〜!!!」
が、上目使いにおねだりをする。
自分がこの顔に弱いのを知っていてやっているのだ。
完全な、確信犯である。
「ね〜ミゲル〜!」
ミゲルに縋り付いてさらにおねだりする。
目には涙まで溜めている。
ミゲルは諦めの溜息を吐いた。
「解かった。行きゃ〜良いんだろ!」
ミゲルは、自分に縋り付いていたに、そう叫んだ。
途端に、今にも泣きそうな顔をしていたが、笑顔でミゲルに抱き付く。
「やった!だからミゲルって大好きv」
こんな時だけ調子が良い従妹に、ミゲルはさらに深い溜息を吐いた。
泣きそうな顔をしていただけで、決して泣かないことは知っていたが、その辺のことを突っ込んだら殴られそうなので、やめておく。
といると、たとえ嵐だろうと雨天決行にされてしまう。
「ほら、早く行こう!」
駆け足でドアに向かうに、ミゲルは苦笑しながら、の後に続いた。
自分はつくづく、この少女に弱いらしい。
しょうがない。馬鹿になりに行きますか。
雨はまだまだ、止みそうにない。
+++あとがき+++
『学天』シリーズのヒロインさんとミゲルです。
お題で使ってみましたv
アカデミーにぶち込まれる前の話ですね(笑)
この二人の関係は、『恋人』やただの『従兄妹』というよりはもう『兄妹』ですね。
そして何気に使われてるミゲル。
こんなお兄さんが欲しいです。
ちなみに、大雨で土砂降りな日にプールに行ったのは私です。
隣に川みたいなのが流れてたんですが…洪水起こしかけてました;;
でも意外に人はいましたよ〜。室内プールもあったからでしょうがね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。