01:約束
今日も幼なじみのイザーク・ジュールは、わたしをいじめます。
「おい、!かばん持てよ」
「なんで?」
いつもの帰り道、家が近所というだけで、わたしとイザークはいっしょに帰ります。
「オレは今日手にけがをしているんだ!」
そう言ってイザークは、わたしに手を見せました。
「ないじゃん」
「ここだ!ここっ!!」
イザークの右手の指先には、小さな小さな切り傷がありました。
「…これくらいなら、かばん持てるでしょ?」
「うるさいっ!とにかく持て!!」
イザークは、わたしにかばんをムリヤリ押し付けました。
えばってるし、いつも命令してくるし、わがままなので、わたしはイザークがきらいです。
「持たないと、もう宿題手伝わないぞ」
「うぅっ……持ちます」
この言葉で、わたしはいつも命令にしたがってしまいます。
イザークはすごく頭がいいので、むずかしい宿題もすぐに終わってしまうのです。
ふつうの宿題もすぐにできないわたしは、いつもイザークに手伝ってもらいます。
宿題を手伝ってくれる時のイザークは、うるさいけどちょっとすきです。
「!あそこの角まで競争だ!!!」
「ええ?!まってよ〜〜!!」
イザークがとつぜん走り出しました。
わたしはかばん二つも持ってるのに、競争だなんて、ずるいです。
「―――ふん、オレの勝ちだ!あいかわらずトロイな」
ずるっこなのに、イザークはえばっています。
これは、けっこうムカつきます。
「〜〜〜〜っイザークなんて、大ッキライ!」
わたしは持っていたイザークのかばんを、イザークに投げつけて、そのまま走って家に帰りました。
わたしを呼ぶイザークの声が後ろから聞こえたけれど、もうあんなやつ知りません。
もう、イザークとは遊びたくないです。
家に着いてしばらく部屋に閉じこもっていると、お母さんがわたしを呼びました。
「―――、イザークくんが来てるわよ?」
『入れないで』って言おうとしたら、その前にイザークがかってにわたしの部屋に入ってきました。
もう、家にまで入ってたんだ……。
「………」
イザークがわたしに話しかけたけど、わたしはイザークから顔を背けて無視をしました。
「……、そのっ」
さらに無視をしました。
「……さっ、さっきは悪かったな!」
「え?」
わたしは耳をうたがいました。
イザークがあやまるなんて、初めてのことだったのです。
「許せ」
「………うん」
あやまる時までえらそうなのはムカつくけど、イザークの目が泣きそうなほど真っ赤だったので、許してやりました。
「こんどからは、ディアッカにかばん持たせる」
「うん」
がんばってね、ディアッカ。
「だから、明日もいっしょに帰るぞっ///」
イザークの顔が、真っ赤になってるけど、それを言うと怒りそうなので、だまっていることにしました。
「わかった。明日もイザークといっしょに帰る」
「約束だぞっ!」
「うん。約束」
わたしが笑顔でイザークにそう言ったら、イザークも笑ってくれました。
イザークの笑顔はとってもキレイで、大好きです。
明日も明後日も、ずーっとずっといっしょに帰るよ。
ずーっとずっと、いっしょにいようね。
約束だよ?
+++あとがき+++
お題の第一発目です!
日記調にしようとして、撃沈。
わざと平仮名ばっかりにしました。見難かったらスミマセン;;
幼年学校時代の、ちみっ子イザークです。
ヒロインちゃんの『大ッキライ』に、かなりヘコんだようです(笑)
なぜか異様に早く書けた作品です。
一時間で夢書けたのは、新記録!
この調子で後29題…がっ頑張ってみます;;